クライアントビジネスのように、
オフィスを構えるビジネスの場合は、
立地を間違えてもまだダメージは少ないですが、
店舗の場合は、
立地を間違えると必要客数がとれなくなり、
売上が上がらず、当然利益も出ません。
または客数がとれたとしても
保証金や賃料が高額で営業利益が出なかったり、
投資回収に時間がかかり過ぎてしまうことになります。
そのため設備投資の回収は進まないばかりか、
閉店する場合でも原状回復のために
多額の費用が必要となるので、
立地を間違えた場合のダメージは、
かなり深刻です。
しかもそれが、
1店舗目や2店舗目の段階で、
他に事業収入の柱がないような場合、
精神的にも経済的にも、
かなりきつい状態に追い込まれます。
立地で失敗する、
あるあるなケースを紹介しましょう。
ある美容師が独立を決めて、
ようやく自分の店をオープンすることになりました。
オープンまではお客さんが来るのか、
不安でドキドキでしたが、
オープン間もなく、
みるみる客数は増加していき、
すぐに損益分岐点も突破します。
面白いほど、
売上と利益が上がっていきます。
数ヶ月順調な状態が続くと、
2店舗目の出店を検討するようになります。
しかしここから、
あるあるの落とし穴が待っています。
1店舗目でうまくいって有頂天になっていて、
次もうまくいくことを疑わずに、
2店舗目を気軽に出店してしまいます。
しかし、
2店舗目は客数が伸びません。
そのため赤字が続いてしまいます。
その赤字は1店舗目の利益で補填しています。
——
計算例
1店舗目:利益50
2店舗目:利益-20
例えばこのような数字だとすると、
1店舗だけの場合、利益50
2店舗の場合、利益30(50-20)
——
店数は2店舗あるのに、
1店舗だけのときのほうが、
利益が残っていたという状態です。
オーナーにとっては、
1店舗のときより、手間もストレスも
借金も増えているというのに、
利益は減ってしまっているという、
なんともむなしい状態に陥ってしまいます。
こういうケースはよく見かけます。
1店舗目は成功したのに、
なぜ2店舗目はうまく行かなかったのか。
答えは簡単です。
1店舗目は、
「たまたま」立地が良かっただけなのです。
立地調査をすることもなく、
たまたま見つけた物件の現地を見たら、
なんとなくいけそうな気がして、
やってみるか!と勢いで決めてしまい、
それがたまたま当たってしまった。
あとで調べたら、
そこの周りには競合店が少なく、
幸運にもその商圏でブルーオーシャン状態だった。
反対に2店舗目は、
競合がひしめく超レッドオーシャン状態だった。
こういう話は、
美容室だけではなく、
飲食店やその他業種でもよく耳にします。
そうならないためにも、
立地については、
念入りな準備と正しい知識が必要です。
成功している企業は、
立地を間違えません。
そのための立地調査を必ずやっているからです。
多店舗出店をしている企業は、
必ず綿密な調査をしています。
手間と時間と金をかけて、
本気で良い立地を探しています。
売上と利益を上げるためでもありますが、
大きな損をしないためでもあるのです。
出店してコケてしまうと、
ダメージは想像以上です。
初期投資の出店コスト以外にも、
出店中に垂れ流す赤字、
撤退する際の原状回復などのコスト、
そして、
銀行借入れの返済が、大きな負担になります。
しかも、
出店準備から撤退までの、
膨大な時間までも、
すべて水の泡になってしまうのです。
立地のミスは、
どんなにもがいても取り返しがつきません。
商品のミスは変更できます。
価格も変えられます。
しかし、立地だけは、
撤退しない限り変えることはできないのです。
このように、
出店の失敗は、
非常に大きな損失を生んでしまうため、
それを避けるためにも、
立地についてはしっかりと勉強してください!
立地選定については、
また別の記事で解説しますね。