社員の残業代を払わない、
社会保険に加入しない、
有給休暇を与えない、
教育の機会を与えない、
これは日常的に聞く話ですが、
なぜこういうことが
そこらじゅうで起こっているのでしょう。
経営者が社員のことを嫌いだから?
違いますよね。
粗利がないから払えない
むしろ本当は
社員にもっと給料を払ってあげたいはずですし、
教育の機会も増やしたいはず。
その必要性も十分わかっているはず。
なのにそれができないのは、
それを払う余力がないからです。
根本的な問題は、
あなたのビジネスが
まともな粗利益が取れていない
ビジネス構図になっているからです。
社員の給料も社会保険料も教育費も、
もちろんあなたの役員報酬も、
すべての経費は粗利益から払っています。
まともな粗利益がとれないということは、
まともに給料も払えない、
社会保険も教育費も払えないということです。
つまりビジネスとは、
適正な粗利益高をいかに獲得できるか、
ここにかかっているのです。
生産性が高いとか低いとかいうワードを
よく耳にすると思います。
生産性とは粗利益のことで、
粗利益が取れているかどうかという
重要な指標のことです。
粗利益を増やすということは、
誰もが重視するテーマであり、
ビジネスでは最も優先の高いテーマなのです。
●粗利益の増やし方(粗利益そのものを押し上げる方法)
粗利益の増やし方 その2.
粗利益の増やし方その1に続き、
今回は「ロス対策」という
テーマについてです。
今よりもさらに売上を増やさなくても
ロスを減らすことができれば、
その分粗利益が増大します。
このロス対策がしっかりとできれば、
粗利益を増やすことができます。
新たな売上を上げるには、
さらに余分なコストと
それなりの時間と労力が必要ですが、
それに比べればこのロス対策は
それほどコストもかからず、
すぐに結果が出るので、
比較的手軽に取り組めます。
ロスがなくなるだけで、
粗利益が大きく増えますから、
ここはぜったいにおさえておきたい対策です。
ロスとは?
ロスとは簡単に言うと、
「粗利益のロス」のことです。
ロスには
いくつかの種類がありますが
大きくは2つに分けられます。
・売上原価を押し上げるロス
・機会損失によるロス
この2つを順番に説明します。
まずは、
●売上原価を押し上げるロス
売上原価を押し上げるロスの中には、
・廃棄ロス (劣化、賞味期限切れ)
・棚卸しのロス(過剰在庫、紛失、盗難、社内不正)
これらがあります。
賞味期限切れの食材や、
紛失や盗難で商品がなくなってしまう場合、
過剰な在庫をかかえてしまう場合、
これらが全てロスになります。
来店型サービス業の場合は、
施術する社員が出勤して待機しているのに、
お客さんが来店しないケース(予約の空き時間など)、
これも過剰な在庫をかかえてしまう場合の
ロスと同様になります。
このロスの分だけ
大切な粗利益を減らしてしまっています。
本来これらの在庫は、
販売されたときに
売上と一緒に粗利益を連れて来るのですが、
その在庫が販売されないことよって、
粗利益を獲得できなくなってしまいます。
売上原価を押し上げるとは
具体的にどういうことか、
ロスがあるパターンと、
ロスがないパターンで
粗利益にどういう影響があるのか、
簡単に年間の粗利益を算出して
見ていきましょう。
計算例をもとに以下で説明します。
ロスの影響の大きさを
感じてもらえたらと思います。
年間の粗利益の算出
ロスがある場合と
ロスがない場合で
以下に簡単な数字で
シュミレーションしていきます。
上は20個のロスがある場合、
下はロスが0個の場合です。
■ロスがあるパターン(ロス20個)
1年間に100個の商品を仕入れ、80個を販売しました。
残りの20個は廃棄や紛失と盗難のため、
1年が終わった段階で残り在庫は0個です。
(内訳を下記します)
仕入れ原価:500円/個
1年間に仕入れた数:100個(500円×100個=50000円)
売価:1000円/個
販売数:80個
期首在庫:0個
期末在庫:0個(残り20個は廃棄・紛失・盗難などにより在庫0)
(以上の条件で年間の数字を出していきます。)
売上高:売価1000円×販売数80個=80000円
売上原価:期首在庫0円+期中仕入れ50000円ー期末在庫0円=50000円
粗利益=売上高80000円ー売上原価50000円=30000円
この場合、
粗利益が30000円になりました。
次に
■ロスがないパターン(ロス0個)
1年間に100個の商品を仕入れ、80個を販売しました。
残りの20個は在庫として残っているため、
1年が終わった段階で残り在庫は20個です。
※ロスの個数以外は同じ条件
(内訳を下記します)
仕入れ原価:500円/個
期中仕入れ数:100個(500円×100個=50000円)
売価:1000円/個
販売数:80個
期首在庫:0個
期末在庫:20個(500円×20個=10000円)
(以上の条件で年間の数字を出していきます。)
売上高:1000円×80個=80000円
売上原価:期首在庫0円+期中仕入れ50000円ー期末在庫10000円=40000円
粗利益=80000円ー40000円=40000円
この場合、
粗利益が40000円になりました。
販売数は同じなのに、
上のロスが20個ある場合(粗利益30000円)と比べて、
下のロスが0個の場合(粗利益40000円)では、
ロスが0個の方が、
粗利益が1.3倍(10000円)も
多くなることがわかります。
「粗利益=売上ー売上原価」
さきほどの例題を参考に、
みなさんもそれぞれのご商売で
数字を当てはめて計算してみてください。
計算のポイントは、
粗利益の計算式が
「粗利益=売上ー売上原価」ということです。
粗利益=売上ー仕入れ額 ではありません。
売上原価とは、
仕入れ合計額のことではなくて、
売上原価とは、
期中に会社から流出した原価合計のことです。
売上原価=期首原価在庫+期中原価仕入れー期末原価在庫
で算出します。
決算書でもこの数字が乗ってきます。
儲かっているか、
粗利がどのくらいか、
売上がいくらか、
すべては決算書がベースになります。
あなたが想定している粗利益高と、
決算書に乗ってくる粗利益高とでは、
おそらくかなりのズレが
あるのではないでしょうか。
あなたが想定する粗利は、
粗利益=売価ー仕入れ原価
という計算でざっくり出している
「予定の粗利益」です。
実際の粗利益は、
決算書に記載される数字です。
それは
売上ー売上原価
で算出されます。
上記を参考にロス対策をして、
粗利益を増やしていってください!
真っ先に取り組むべきは、
売上より粗利益です。
みなさんの頭の中を、
売上・売上・売上の洗脳から、
粗利・粗利・粗利に、
シフトしていきましょう!
ロス対策その2の、
「粗利益を逃してしまうロス」
については、
また後日解説します!
よい1日を。