コスト削減が大事なことは、みなさん十分にわかっています。
コスト(経費)を減らせば、その分利益が増えますから、
電気をこまめに消したり、
コピー用紙の裏面を使ったり、
飲みに行く回数を減らしたり、
なるべくムダな経費は使わないようにしています。
多くの人がコスト削減とはこのように節約することだと理解しています。
でも、こういった節約だけでは削減できるコストの総額はたかがしれています。
節約は多少意味があることかもしれませんが、
利益を大きく増やすほどの影響力はありません。
コスト削減の目的は、利益を増やすことです。
“ちょこっと”ではなくて、“がっつりと”です。
そのためには、本格的なコスト削減が必要です。
では、本格的なコスト削減とはどういうことか。
それは、「作業の削減」です。
ビジネスの活動において、私たちは毎日たくさんの「作業」をしています。
その作業内容はビジネスによってさまざまですが、
例えば、
営業会社であれば、
・電話をかける作業
・客先に訪問するという作業
・プレゼンする作業
飲食店であれば、
・調理をする作業
・料理を運ぶ作業
小売店であれば、
・検品作業
・品出し、陳列作業
・レジ作業
など、
どんなビジネスもとにかく作業のかたまりです。
そして、これらの作業をしているのは「人」です。
作業が多ければ多いほど、従業員の数が必要になり、
その分人件費というコストがかかることになります。
すべてのコストの中で最も高い割合を占めるのは、人件費です。
業種によりますが、一般的に粗利益の約30%〜60%が人件費です。
つまりコストとは、ざっくり言えば「作業の対価」なのです。
このコスト=作業の対価を削減することができれば、
がっつりと利益を増やすことができます。
たとえば、2人で担当していた作業が
1人でできるようになるとしましょう。
1人年間300万円の人件費であれば、
年間300万円が削減できることになります。
これが店舗毎だとしたら、削減額×店舗数分のコスト削減です。
成功すれば一気に会社の収益性がアップします。
収益性が改善できれば、
会社に現金を残したり、銀行返済がラクにできるようになったたり、
新しい投資をすることも可能になり、会社の先行きが一気に明るくなります。
私たちも会社の財務をこういう状態にしたいですよね!
まずはお手本から学んでいきましょう。
このようなコスト削減の成功例は、私たちの周りにいくつもあります。
たとえば、ユニクロのセルフレジの導入です。
以前はレジに並ぶお客の対応をするために、
数人の店員がレジに並び、レジ作業や袋詰めをしていましたが、
セルフレジが導入されたことにより、
それらのレジ作業はお客がすることになりました。
数人いたレジの店員はいなくなり、
セルフレジの近くに、別の作業をしている店員が1人がいる程度になりました。
店員によるレジ作業が不要になったため、
それまでの数人分のレジ作業の削減に成功しました。
その分店舗に必要な人数も減らすことができますから、
1店舗あたりの人件費を削減することができます。
ユニクロの国内店舗数は約800店ありますから、
単純に1店舗あたりの削減コスト額×店舗数で計算すると、
相当な金額のコストが削減されたことになり、
セルフレジの導入前に比べて、ユニクロには大きな利益が残っているはずです。
大手ファミレスでは、
配膳ロボットが普及しています。
これもコスト削減の事例です。
人手不足という社会問題とテクノロジーの進化が追い風になって
配膳ロボットが急速に普及しました。
ロボットは休みませんし、シフトもありません。
ロボットにもコストはかかりますが、それでもやはり人件費コストにくらべれば、はるかに安上がりです。
これらがまさに
電気代やコピー用紙代などを節約するコスト削減とは次元の違う、
作業の削減によってコストを削減し、収益性を改善していくというやりかたです。
大手企業の成功例のため、いまいちピンとこないところもあるかもしれませんが、
あなたのビジネスでも必ず削減できる作業があるはずです。
「無駄な作業なんかしていないから、これ以上の作業削減は難しい。」
と多くの方が思うかもしれません。
本当に削れる作業はないですか?
あなたの思い込みであきらめてはいませんか?
古くからの業界常識を引きずっていませんか?
やる必要のない作業、変えることのできる作業は必ずあります。
一般的な会社では、人件費は粗利益に対して
30%〜60%ほどの金額を使っています。(※業種によって変動)
作業改革によってこの人件費を減らすことができれば
その分営業利益が増えますから、大幅な増益を実現することが可能です。
これは経営の原則です。
日本でも大手企業では、50年以上前からこの方法を取り入れています。
情報弱者である中小企業には、この手法が知られていなかったのです。
これを知っている会社は、すべての作業を一から見直し、作業内容を変えることによって作業の削減に取り組んでいます。
成功すれば利益が大きく増えることを知ってますから、作業の削減には真剣です。
売上を上げることだけが、利益を増やす手段ではないのです。
作業を削減できるかどうかが、貴社の収益性を改善する大きな分かれ道かもしれません。
作業の削減の方法については、
具体例と合わせてまた別の記事で解説します。
◾️次の記事
コスト削減の具体的方法