コスト削減の目的は、利益を増やすことです。
そのためには、経費を節約するだけではたいした効果はありません。
大きな利益を残すには、本格的なコスト削減が必要です。
本格的なコスト削減とは、作業の削減です。
今回は作業の削減の具体的方法について解説します。
まずは、作業とは何かについて確認しましょう。
作業とは仕事そのものです。
ビジネスの種類によって、仕事の内容は違います。
営業会社であれば、電話・メール・会議・客先への移動・企画書作りなど。
美容室であれば、シャンプー・カット・パーマ・カラーリング・受付など。
すべてのビジネスで、日々必ず何かしらの作業が行われています。
まずは、あなたのビジネスの作業内容を、すべて書き出してみてください。
作業内容を書き出すことが、コスト削減のはじめの一歩です。
例えば、飲食店の作業内容を書き出してみましょう。
主に開店作業、厨房作業、ホール作業、閉店作業、発注作業があるとします。
それをさらに細かい作業毎に分解します。
開店作業→床掃除、テーブル拭き、材料補充、
厨房作業→野菜カット、仕込み、調理、食器洗い、
ホール作業→配膳、テーブルの後片付け、レジ作業、予約電話対応、
このように作業を細分化して、作業量の多い順に並べます。
作業内容の書き出しが終わったら、
次にその作業をひとつずつ下記4つのどれかに当てはまるかどうか、じっくりと検討してみてください。
当てはまるのであれば、コスト削減=利益の増加 を実現する可能性がとても高いです。
(やめられないか、まとめられないか、回数を減らせないか、一度にできないか)
それぞれ解説します。
1 作業改革できないか
その作業をやめてしまうことはできないか。
売上に貢献していない、または影響力の弱い作業はやめてみてください。
やめてみると無駄な作業だったということが多いです。
複数箇所でやっている作業をまとめて一括でできないか。
例えば複数店舗ある飲食店の調理を、店舗ごとではなく1箇所でまとめて調理をする。
これも作業の削減になります。
たとえば掃除などは毎日ではなく、数日に一回にできないか。
発送は毎日ではなく、数日に一回にできないか。
2 アウトソーシングできないか
多めに従業員を置いていることはありませんか?
作業量が一番多いときのために従業員を雇ってしまうと、かならず利益が減ります。
作業量が少ないときに合わせて雇用し、足りないときはアウトソーシングなどを利用しましょう。
また、あらゆるものでアウトソーシングの活用を検討しましょう。
発送は外注する、倉庫は自社保有ではなく借りる、従業員は業務委託契約にする、
教育システムは外部のものを活用する、など。固定費はなるべく増やさないようにしましょう。
3 テクノロジー化できないか
アナログの作業、アナログで管理しているものを、テクノロジー化してください。
例えば手書きの予約表はクラウド管理にし、アナログのタイムカードはクラウドの勤怠管理に変える。
ユニクロのセルフレジ、セブンイレブンのコーヒーマシン、美容業界のホットペッパービューティー、
住宅業界のMAツール、あげればきりがないほどいろいろな活用方法やツールがあります。
テクノロジーは早くて安くて正確です。今の時代は思いっきりテクノロジーを使いまくって、コストを削減しましょう。
4 セルフにできないか
社内でやっている作業を、お客にやってもらうことで作業削減をしてください。
飲食店のセルフがまずは思いつきます。最近は脱毛やエステなどでセルフのサービスが普及しています。
あなたのビジネスの作業でもこのセルフ化が実現できませんか。
以上が、コスト削減のための手法です。
これに取り組む前に注意しなければならないのは、
作業内容を変えることによって生じる、さまざまな影響を把握・想定しておくことです。
ポイントは、以下の2点です。
・従業員への影響
・お客への影響
例えば、飲食店で配膳や片付けの作業をセルフ式に変えるとします。
今まではお店のスタッフが料理をテーブルまで運んで、お客が帰ったあとにお皿を片付けていましたが、
セルフ式にすることによってそれら作業をお客にやってもらいます。
配膳作業がなくなる分の作業コストは削減できますが、
お客から見たその店のイメージがどう変化するのか。
フルサービスで高級感があったものが、
セルフ型になって以前より安っぽくなるとします。
それによってそれまでの価格が割高に感じてしまう。とか、
その高級感を楽しみに来店していたお客の期待を裏切ってしまう。など、
作業を変えることによって、リピート客や新規客の増減にどう影響するか。
客層の変化はないか、価格設定とのバランスはどうか。
を慎重に検討してください。
・従業員への影響
また従業員に対しての影響も、同様に考えてください。
作業内容が変わることで、従業員の作業負担はどうなるのか。
イメージが変わることで、従業員の受け止め方はどう変わるか。
上記のセルフ式にすることで、配膳や片付けの作業が減ったとして、
また違う作業が増えることはないか。
高級感のあるお店で働くことが従業員にとってのやりがいだったのに、
それがなくなることでやりがいをなくし、離職につながるようなことはないか。
このように、全体のバランスを見ながら慎重にすすめてください。
作業量の多い作業を変えようとすれば、
その分コスト削減額が大きくなりますが、
お客や従業員へ与える影響も大きくなります。
以上、コスト削減の具体的方法について解説しました。
コスト削減とは、作業の削減です。
もっともコントロールが難しく、もっとも高くつく人件費を、なるべく減らすことで、
少しでも多くのキャッシュを手元に残していきましょう。
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