「儲かってます!」の勘違い

利益のはなし

「儲かってますか?」
「おかげさまで、儲かってます!」
「儲かってません、厳しいですねぇ」

という会話をよく耳にします。

さて、
この「儲かる」とは、
どういう状態のことを言っているのでしょうか。

本当は儲かっていないのに、
「儲かってます」と答えていることはないでしょうか?

もしそうだとしたら、
少しはずかしいですよね。

あなたは、「儲かる」という状態について、
自信を持って説明できますか?

予想していたより売上が多かったから、
儲かってる?
毎日客だらけで、
店には行列ができているから儲かってる?
それとも、
粗利が取れてるから?
粗利の率が高いから?
営業利益が多いから?

「儲かる」とは、
具体的にどういうことでしょうか?

売上が取れている、
粗利が取れているということを指して、
儲かっているという話をしていることも多いのかもしれませんが、

経営視点で正確に答えるならば、
投資回収が計画通りに成立している状態を、
「儲かっている」と表現するのです。

つまり、元手よりも多くの利益を手にしたときに、
儲かったという状態になるのです。

ここで少し
パチンコをイメージしてみてください。

先にお金を入れて、玉を買います。
例えば1万円分の玉を買って、そこからゲームがスタートします。
少しすると当たりはじめてきて、
玉がじゃんじゃん出て、箱がいっぱいになりました。
そろそろ帰ろうかと、その玉を換金したら、9千円になりました。

この時あなたはどう思いますか?

「9千円儲かった」と思いますか?
1万円入れて9千円戻ってきたので、
千円損してますよね。

パチンコの場合だと、
この構造がシンプルなので、
儲かっているか儲かっていないかすぐに分かるのですが、
ビジネスの場合は、どうでしょう。

ビジネスになると構造が複雑なので、
儲かっていないのに、儲かっていると
勘違いをしている人がとても多くいます。

ここで最初の会話に戻って考えてみてください。

売上が増えたから、粗利が増えたから、
「儲かってます」と
言いにくくなってきたのではないでしょうか。

では、次にお店をイメージしてみましょう。

例えば、
1000万円で店を作って
ビジネスをスタートします。
そのお金を3年で回収する計画です。
(毎月約27万8千円の利益×36ヶ月=1000万円を回収)

さて、このビジネスの場合、
あなたなら下記のどの状態で、「儲かってます」と答えますか?

1、今月は500万の売上がありました。

2、その粗利益高が300万円です。(粗利率60%)

3、その粗利から家賃や給料、広告費など全ての経費を引いたら、35万円の営業利益です。

4、そこから税金(20%で計算)を差し引いて、税引き後利益が28万円です。

5、この店舗の経営が安定して、毎月税引き後利益28万円が残っている状態です。

6、3年が経って予定通り税引き後利益での回収が終わりました。
その後もまだ毎月同額の税引き後利益を出し続けています。

(※便宜上、上記では経常利益を省いて説明してます。)

儲かっているのは、
正確には、5番と6番です。

儲かっているとは、
計画通りに投資回収が進んでいることを指します。

5番は計画通りに進んでいるので儲かっています。

6番は回収が終わっていて、
あとは売れたら売れるだけ、利益がそのまま蓄積されるので、これも儲かっていると言える状態です。

さっきのパチンコ同様に、
かけたお金よりも利益が上回らないと、
「儲かる」とは言えません。

さらに注意してほしいのは、
その「利益」がどの利益のことを指すかということ。

上の例の1〜3のように、
売上や粗利、営業利益から回収を計算すると、
大きな計算違いを起こしてしまうので、注意してください。

利益には、
粗利益・営業利益・経常利益・
税引き前純利益・税引き後純利益の利益がありますが、

初期投資の回収は、
税引き後利益で計算するのです。

そして、元手よりも多くの税引き後利益を手にしたときに、
はじめて「儲かった」という状態になるのです。

この先、
「儲かってます!」という会話を耳にしたときは、
これらのことをふと思い出してみてください。

タイトルとURLをコピーしました