「売上ではなくて、すべては粗利益です!」
前回まで粗利益の重要性について
しつこいほど書きましたが、
今回は、その粗利益の増やし方についてです。
ビジネスでは粗利益が増えることで、
すべての課題を解決することができます!
今よりももっと多くの粗利益があれば、
たとえば、
・社員の給料を上げて、さらにボーナスの支給も可能です
・社員の教育にお金と時間を使えるようになります。
・その結果社員定着率が上がります。
・あなたの役員報酬を増やすことができます
・会社の将来投資のためのお金をためることができます
・研修、接待、出張などにお金を使えるようになります。
・借金返済の苦しみから解放されます
などなど、です。
しかし、
みなさんなかなか粗利益を
増やすことができません。
経営者のみなさんは、日々努力しています。
がんばっている社員を豊かにしてあげたい、
もちろん自分も豊かになりたい。
そう思って、日々がんばっています。
それを叶えるためには、
なんとか売上を上げなければと。
売上を上げて、
そこから得られる粗利益を増やして、
そうすればみんなの給料を増やしてあげられる、
自分の役員報酬も増やせると信じて、
知恵を絞って額に汗して努力しています。
しかしどうでしょう。
努力の限りを尽くして売上を上げた結果、
願いは叶いましたか?
多くの人が、
思うような結果になっていないのではないでしょうか。
売上は少し増えたかもしれないけど、
粗利益は思うように増えていない、
むしろ減ってしまっている…
その原因は、
前回の記事でも解説したとおり、
むやみに売上をとりにいってしまったからです。
もう、どうしていいかわからない…
という人も多いと思いますが、
大丈夫です!
粗利を増やす方法はいくつもあります。
正しいやり方をすれば、
必ず粗利益を増やせます。
そして、経営者のあなたも
精神的にも金銭的にもラクになることができます。
では本題に入りましょう。
粗利益はどうやって増やすの?
粗利益の増やし方は、
大きくは2つに別れます。
1つは、
●粗利益を押し上げて粗利益を増やす方法
もう1つは、
●原価を引き下げて粗利益を増やす方法
それらを順番に紹介していきますので、
実際に試してみて下さい。
必ず効果が期待できます。
●粗利益の増やし方(粗利益そのものを押し上げる方法)
その1. 値上げ
その2. ロス対策
今日は、
その1「値上げ」について
解説します。
意外かもしれませんが、
値上げは、粗利益を増やす一番簡単な方法です。
お客様が支払ってもいいと思っている価格と、
店側がつける価格には差があることが多々あります。
店側は高い値付けでは
お客さんが来ないかもしれないと思って、
つい弱気な価格設定をしてしまいますが、
多少の値上げくらいでは
お客様は簡単に離れません。
値上げの効果は、
びっくりするほど大きいものです。
原価などが変わらない単純値上げの場合であれば、
値上げ分はそのまま粗利益になります。
値上げ後も客数が変わらないのであれば、
客数×値上げ額がまるまる増加した粗利益になります。
たとえば、
あなたは美容サロンを経営していて、
下記条件だとします。
客単価5000円、
粗利益高4500円(原価500円)
月間客数は500人です。
月間総粗利益は、
4500円×500人=2,250,000円
値上げによって
客単価が5300円に上がったとすれば、
月間総粗利益は、
4800円×500人=2,400,000円
月間で150,000円もの粗利益を
増加させることができます。
あなたの店が3店舗あれば、
150000円×3店舗=450,000円
の増加です!
年間には5,400,000円(450,000×12ヶ月)もの増加です。
これだけの粗利益が増えたら、
とてもラクになりませんか?
この例の場合、たったの300円値上げするだけで、
粗利益を急増させることができます。
広告を増やしたり、材料を変えたり、技術を磨いたりする必要はありません。
コストはまったくかかりません。
ただメニュー表の金額を変えるだけで粗利が増えるという、
嘘のような本当の話です。
値上げのポイントは、値上げに対しての恐怖を乗り越えることです。
商売の種類にもよりますが、多くの場合お客様は少しの値上げを気にしません。
私の経験やまわりの事例を見ても、ほぼ値上げに成功しています。
しかし、
値上げして客数が減るケースももちろんあります。
でも
客数が減ったらからといって、
値上げが失敗というわけではありません。
安心してください。
客数が減っても、
粗利益が減らなければ成功です。
上記条件であれば
月に500人いたお客様が
値上げによって469人(−31人)に減ったとしても、
値上げ前の粗利益と同額の粗利を確保できます。
(2,250,000円÷4,800円=約469人)
1店舗でひと月に31人、3店舗なら93人のお客様が減っても
粗利益は値上げ前と同額です。
値上げで客数が減ってしまい、
理想的なかたちで粗利益が増えない場合もありますが、
このように値上げ前と同額の粗利益がとれるのであれば、
値上げは成功です。
この成功とは具体的にどういうことか
これだけの客数が減ったとしても
値上げ前よりもメリットがたくさんあるからです。
◯施術数が減ることにより社員の作業負担が減る
↓
作業がラクになったのに待遇は変わらない
↓
定着率が上がる
◯施術数が減ることにより、
値上げ前より少人数の社員数でまわせるようになり
人件費を減らせる
↓
営業利益が増える
◯客数が減ることにより
お客様駐車場(賃料)を減らせる
↓
営業利益が増える
◯必要客数が減るので広告費を減らせる
↓
営業利益が増える
仮に粗利益が増やせなかったとしても、
このように経費を減らせることができれば、
営業利益が増えますので、
結果的に手元に残るお金は増えることになります。
手元に残るお金が増えれば、
次の手を打つための資金として活用することができます。
このように、
値上げの効果は良いことばかりです。
値上げは値札を変えるだけですので、
コストも時間もかかりません。
ぜひみなさん、
粗利益を増やす方法として、
まずは値上げを検討してみてください。
現在の価格を競合他社と比較して
低めに設定していたり、
自社の価格が相場より割安だと感じているような場合は
値上げの成功確率はさらに高くなると思います。
なお、
値上げと同時に内装やメニューを新しくしたり、
材料の高騰や増税などといった
お客様にとってわかりやすい値上げの理由がなくても
値上げしてみてください。
「お客様に値上げの案内をする際に、
値上げの理由をどう伝えていいか困る」という声もあります。
当社では過去に何度も値上げをしてきましたが、
お客様に対してはその都度下記内容の
事前告知をしています。
「この度当店では、お客様へのサービスをより一層向上させて頂くために、
メニュー価格を下記の通り改定させて頂くことになりました。」
この理由は、材料の高騰や増税などの理由とは違い、
お客様にとってはよくわからない
納得のいかない内容かもしれませんが、
ここを突っ込んでくるお客様はいません。
また、
「サービス向上のため」という理由は嘘ではありません。
・粗利益の増加することにより、教育や研修にお金を使うことができます。
教育研修が増えれば施術のクオリティや接客レベルが上がり、
サービスの向上につながります。
・粗利益の増加によって社員の給料が増えれば
社員のメンタルにも余裕ができ、それが身だしなみやお客様との会話にも現れて、
結果的にお客様へのサービス向上につながります。
このように値上げの効果はたくさんあります。
ぜひ、あなたも値上げにチャレンジしてみてください。
勇気のいることですが、
やってみなければ
現状を改善することはできません。
きっとあなたは、
今の店舗運営や会社運営を
まじめに一生懸命やっているでしょう。
それはお客様にも
十分伝わっているはずです。
少しくらいの値上げなど何とも思わない、
あなたのお店をひいきにしているお客様が
多いのではないでしょうか。
万が一値上げが失敗に終わってしまったとしても、
またもとの価格に戻せばいいじゃないですか。
値上げは効果がなかった、
ということが分かるだけでも
大きな収穫だと思います。
うちの店でも、
春に向けて値上げの準備中です。
当社のサロンでは、
社員は優秀で商品のクオリティも高く、
接客も上手です。
お客様の通いやすい場所に立地し、
無料駐車場も店前に多数用意し、
店内は広く明るく清潔感があり、
お客様にストレスなく過ごしていただいています。
でも、価格は相場よりやや低めです。
これらを総合的に競合他社と比べても、
価格が割安であると判断し、
粗利益を増やすために値上げを実行します。
当社も粗利益の増加がとても楽しみです!
以上、値上げについてでした。
その他の粗利益の増やし方については、
また次回解説したいと思います。
では、今日はこのへんで。