行列店の裏側

利益のはなし

あなたは、
行列のできているお店や、
テレビで取り上げられたお店を見て、

「すごい行列だなぁ〜」
とか
「あそこの店テレビで取り上げられてたよ」と

まるでそのお店が
すごく儲かっているかのように
話をしていませんか?

今日は、その行列店や人気店について
触れたいと思います。

一般的には、
行列ができるお店や
テレビに取り上げられる店のことを

売上が多い=儲かっている

このようにとらえている人が
多いのではないかと思います。

しかし、それは実際のところ
どうでしょうか。

このブログでも
たびたび解説していますが、
「儲かっている」とは、
売上がたくさんあることではなく、

投資した金額の回収が終わっていること、
または、その回収が計画通りに進んでいること

を指します。

行列やテレビに紹介されただけで、
本当に儲かっていると言えるのか、
成功していると言えるのか、

一般の人ならまだしも、
経営に携わる人であれば

そこはいろいろな視点から
冷静にとらえる必要が
あるのではないかなと思います。

たとえば、
行列ができているのは、
どういう理由からでしょうか。

いくつか例をあげてみます。

●「価格が安いから」行列ができている場合

価格が安いお店は混雑する傾向にあります。
価格が安いということは、
粗利がまともに取れていない
可能性があります。

粗利がとれないと
人件費に使えるお金が少なくなります。

特に人(社員)を多く必要とする商売の場合は、
多くの人件費が必要になりますが、
粗利が少ないので、
社員の給料を上げたり
教育に使えるお金を捻出できません。

行列ができればできるほど
社員の作業負担は大きくなり、
その上待遇も変わらないとなると、
きつくなって社員が辞めていきます。

作業のしわ寄せが
残った社員にいってしまいますし、
人手が足りなくて店を開けられない場合は、
大きな機会損失となります。

そんな事態は避けたいので、
なんとか人件費は多めに払っているとします。
そのため役員報酬はまともに取れないでしょう。

さらに営業利益が
まともに残らないことが予想できます。

そうなると
税引後利益も残りませんので、
銀行返済が苦しくなり、
投資金額の回収は
計画通り進みません。

次の将来投資のためのお金を
残すこともできません。

行列ができていれば
一見儲かっているように見えますが、
実際は全然余裕がないという
状態かもしれません。


実際当社のネイルサロンでも、
いつもお客さんで席が埋まっている
という時期がありました。
数日先まで予約で満席です。

まわりからは儲かってるでしょと
言われていましたが、

それはもうヒドイ状態でした。

このときは、うちも同様に
安い価格で値付けをしていたのです。
安いからお客さんがたくさん来るのですが、
数をこなせる商売ではありませんし、

作業が伴うので
お客さんが増えれば増えるほど、
社員の作業負担は増えて現場は疲弊していき、
退職にもつながりました。

ネイルは技術が必要な商売なので、
それを習得している人がいないと
店が開けられません。

店を開けないと売上が立ちませんから、
利益ももちろん発生しません。
(これは完全に僕の計算ミスと知識不足が原因でした…)


低価格が理由で行列している店や人気店には、
このような事情で苦しんでいるケースが
多々あるのです。

●「人通りの多い立地だから」行列ができている場合

●「広告に力を入れているから」行列ができている場合

この理由の場合、
駅前一等地や駅ナカ・駅チカ店舗など、
店舗の賃料が高額であるケースや、

業界のポータルサイトやgoogleやインスタ、
チラシ看板などでの告知で、
広告コストが高額となり、

営業利益を圧迫している
可能性が考えられます。

営業利益を圧迫するということは、
税引後純利益も残りませんので、
投資回収が成立しない状態だということ。

たとえば1000万円かけて作った店の場合、
その1000万円を回収するのは、
営業利益から最終的に残る
税引き後純利益からです。

営業利益が圧迫すれば、
当然その利益は残りません。

税引き後純利益が残らなければ
1000万円の回収が終わるのは
ずっと先になってしまいます。

投資した分の回収が終わらない、
または計画通り回収が進んでいないのは、
「儲かっていない」ということです。

つまり、
上記の理由で行列になっている店の場合、

客だらけにも関わらず、
儲かっていないという
可能性があるのです。

●「テレビで紹介されたから」行列ができている場合

テレビなどで取り上げられて
行列ができるというケースもあります。

この場合考えられるのは、
珍しい商品や奇抜なアイディアの店
のケースが多いということ。

メディア側は、
記事を読んでもらうためには、
話題性や珍しい目新しいものを取り上げます。

商売として優秀だから
取り上げるわけではありません。

これらの商売の場合、
珍しく奇抜だということは、
一過性の商売の可能性があります。

一過性ということは、
長期にわたって利益を出し続けることは
難しいということです。

この店が初期投資に
どのくらいお金をかけたのかにもよりますが、

もし高額をつぎこんで店を作っている場合、
投資金額を回収する前に
流行が終わってしまうことも
考えられます。

つまり、
このケースの場合も
儲かっていない可能性が考えられます。

このように、
行列だから、テレビで紹介されたから、
その店が儲かっているだろうと、
あの経営者はきっと
ウハウハなんだろうと、

そう考えてしまうのは
少し浅いのではないかなと思います。

これに当てはまらず、
しっかりと利益を出して儲けている
非常に優秀な行列店も
もちろんあるとは思います。


でも
儲かっているか儲かっていないかは、
その店の内情をしっかりと把握しないと
本当のことはわからないのです。

今度行列店を見かけたら、
このような視点で見てみるのは
いかがでしょうか。

でも、
彼氏彼女や友達などといるときに
行列店を見ながら、

「いや、粗利は少なそうだね」
「儲かってると判断するのは早いな」

なんて口に出さないように
注意してくださいね。


確実に、ウザがられますね。

それでは、良い週末を。

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